宮尾行巳先生が描く、不思議な歴史SF漫画「五佰年BOX」は、蔵の中で見つけた箱庭の世界を手にした青年のお話です。
箱の中で生きる古い時代の人々を「神」のように見守り、手を出してしまったがために、大切な幼馴染・真奈を失ってしまった叶多(かなた)は・・・
なお、こちらでは第1話「叶多と真奈」のネタバレ感想をご案内します。
五佰年(いほとせ)BOX 第1話の簡単なネタバレ
幼馴染の家の蔵掃除で見つけた箱
遠野叶多は隣に暮らす、幼馴染の和泉真奈の家の蔵掃除を手伝っていた。
婚約者の山崎晴市が現れ、「真奈の器用な弟」だと聞いていると笑う。山崎は真奈の親に挨拶に来たというのに、ロン毛で髭も伸び放題なだらしない男。
叶多はひそかに真奈を想っていたが、彼女はもうすぐ結婚してしまう。
ずっと見ていただけで、告白しなかった自分が悪いと思いつつも、悔しくてならなかった。
だが、蔵の中で奇妙な箱を見つけて、叶多の興味はそちらへ移る。
箱を空けると、それはまるでミニチュアの大昔の日本で暮らす人々がおり、本当に生きているように見えた。
箱の中の少女を助け、幼馴染が消える
箱庭の世界は恐ろしいほど精巧なつくりで、叶多は夢中になった。
中でも村で暮らすひとりの少女が気になり、彼女が困っているとつい、手を出して守ってしまった。
箱庭の中の人々からは叶多の姿は見えず、神、あるいは仏の仕業として少女は叶多に向けて有難そうに手を合わせていた。
ある日、その少女が武装した侍姿の男に襲われているのを見るに見かねて命を助けた。
その因果なのか、現実世界でも「真奈」の存在が消失してしまう。
第1話の感想
幼いころからずっと真奈が好きだったのに、告白できず山崎といういけ好かない男に幼馴染を取られてしまった叶多。
家族ぐるみの付き合いのお隣さん、ということで距離が近すぎて恋愛関係にはなれなかった様子。
真奈のほうは本当は叶多の気持ちに気づいていたのに、「弟」として結婚後もつきあっていきたい、というムシの良い?ことを言っていましたね。
真奈の優しさから出た言葉なんでしょうが、さすがにこれは無神経かも。叶多は大人しそうな性格ですが、ちょっとキレてしまったのも無理はありません。
箱庭は江戸時代かその前かわかりませんが、古い時代の日本で「過去」の世界と思われます。
箱庭を手に入れた叶多は、「神の視点」でその世界にいる小さな人々を見守っていて、「助けていいことした」気分になっていましたが、じつはリアルと繋がっていて手をだすほどに「未来」である現在に影響を及ぼしています。
箱庭の少女を助けたあとに、真奈は文字通り消えてしまいますが、「過去」に手を出したせいで未来が変わってしまった、と考えられそうです。つづく。