日本昔話風の醜女の物語。
漫画「醜女おとぎ草紙」は、安武わたる先生の短編集です。
第一話となる「瓜子姫」は、気が強くて意地の悪い美人の姉と機織りが上手なブスの妹の対立、そして「どちらが幸せを手に入れるのか」を描いたお話になっています。
こちらでは第一話のあらすじと感想をご案内します。
「醜女おとぎ草紙 瓜子姫」のネタバレ
村のこどもたちが集まって「天の邪鬼」のおとぎ話に講じていたところ、七重はその話の怖さに泣き出してしまい飛び出した。
2つ年上の八重がそれを見咎めて叱り、七重はますます泣いてしまう。
八重は村一番の美少女で頭もよく、みんなから憧れられている存在。
それにくらべ、七重はそばかすだらけのブスで姉に対してコンプレックスまみれだった。
大人になると七重は機織り名人になっており、それだけはほめてもらえた。
姉は七重が織った布を市で売り、その美しさのせいで高く引き取ってくれる。
市場には、七重がずっと好きだった幼馴染の正太が付き添い、美男美女でお似合いだからと八重との祝言がもちあがり・・・
「醜女おとぎ草紙」の感想
美人の姉とブスの妹。
よくある話ですが、「天の邪鬼」という不思議な鬼の存在をからめていることで、お話がとてもおもしろくなっています。
七重にだけ見えていた「天の邪鬼」の正体。
人をたぶらかして、ひねくれた悪さをするもの・・・といえば、なんとなーくわかりますね。
姉妹の両親もいい人たちではなく、七重をていのいい無料でお金を稼ぎ出すマシーンみたいな扱いをしていてかわいそうでした。
安武わたる先生の漫画は、いつも人の心の奥にひそむ思惑や複雑な女心、コンプレックスを綺麗にまとめて描いており、読んだあと考えさせられるし、すごく読み応えがあります。
なお、「瓜子姫」のほかに「チャップリンの妻」「マンク――破戒僧」「花畑へ還る」全部で4編のお話が収録されています。
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